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なぜか達成感がない…それ、『タイパ疲れ』かもしれません

関村心理カウンセラー

2026/7/16

「今日も一日頑張ったなぁ。」

お風呂に入るとき、私は大抵そんなふうに一日を振り返ります。

ところが、ある日のことです。

「色々がんばったはずなのに……。なんだか、達成感がない。」

その日は、たくさんの知識を詰め込んだ日でした。動画を2倍速で見ながら、ご飯を作り、次々と情報を取り入れていました。

効率よく時間を使ったはずなのに、知識が身についた実感を感じられず、心がどっと疲れていました。

 

もしかすると、これは今話題の「タイパ疲れ」だったのかもしれません。

1.「タイパ」とは何?

「タイパ」とは、「タイムパフォーマンス(Time Performance)」の略です。

使った時間に対して、どれだけ効率よく成果や満足を得られるかを表す言葉です。

例えば、

  • 動画を2倍速でみる
  • ながら作業をする
  • スキマ時間を有効活用する
  • 最短ルートで答えを知る

などがタイパの考え方です。

忙しい現代では、時間はとても貴重です。

だからこそ、「効率よく生きたい」「無駄な時間を減らしたい」と考えるのは、自然なことですよね。

むしろ、上手に活用できれば、私たちの生活を助けてくれるものでもあります。

 

しかし、その一方で、最近「タイパ疲れ」という言葉も聞かれるようになってきました。

 

2.効率化しているのに、なぜ疲れるの?

私がお風呂で感じた、

「こんなに疲れているのに、何も残っていない感じ。」

これこそが、タイパ疲れの特徴なのかもしれません。

 

その日、私は動画を2倍速で見ながら、ご飯を作っていました。

その間にも、スキマ時間をみつけては、小さな用事を足していきます。

一見すると、とても効率的です。

 

多少忙しくても、何気なくやっているように思えますが、実際には、以下のように、何度も何度も作業を切り替えています。

「献立を決定し、動画を再生する」

「野菜を切る」

「動画の話を聞く」

「お湯が沸くまでの間に、やり残していた用事を思い出し手をつける」

「動画の続きを理解する」

「味付けを思い出し調味料を入れる」

……

これはとても大雑把ですが、簡単に書くだけでも、複数のやっていることを覚えておきながら、行動があちこちに移っています。

このように頻繁な切り替えをするたびに、脳に負荷がかかっているそうです。

前のタスクから次のタスクに移るたびに、前のルールを忘れ次のルールを読み込むためです。

人の脳は、複数のことを同時に行っているように見えても、実際には高速で切り替えているだけで、そのたびにエネルギーを消耗し、集中力の低下やミスが起き、効率低下につながります。

 

だから、

「何を学んだのか身についていない気がする。」

「何もしていない気がする。」

「それなのに、なぜかとても疲れている。」

という状態になりやすいのですね。

 

実際に、今回は余計に時間がかかってしまったような気もします。

これなら、一つのことに集中して終わらせたほうが早い場合もあるかもしれません。

 

 

3.達成感を感じにくくなる理由

タイパを意識しすぎると、「終わらせること」が目的になりやすくなります。

動画を見終わった。

情報を得た。

タスクをこなした。

 

でも、その内容をゆっくり味わったり、自分の中に落とし込んだりする時間がありません。

人は何かを経験したとき、

「なるほど。」「私はこう感じた。」「これをやってみたい。」

と、自分の心の中で整理する時間があって初めて、満足感や達成感につながります

食事も、急いで食べると満足感が少なくなることがありますよね。

それと同じように、知識や経験も「味わう時間」が必要なのだと思います。

効率だけを追い求めていると、心が置いてきぼりになってしまいます。

4.心にも必要な「ゆっくり味わう時間」

現代は、何でも早く答えが手に入ります。

動画も要約。

本も要約。

知りたいことは検索すればすぐ出てくる。

とても便利な時代です。

 

でも、人の心は効率だけでは育たないのだと思います。

ゆったりと一息つく時間。

香りを感じながらお茶を飲む時間。

青空の高さを感じる時間。

懐かしい音楽を聴く時間。

家族をちゃんと見る時間。

誰かを思いやる時間。

 

 

こうした「つい適当に済ませがちな毎日のことに気を配る時間」や「一見すると無駄に見える時間」、「直接、成果に結びつかないような時間」が、実は心を回復させ、私たちの安心感や満足感を育ててくれるのではないでしょうか。

効率を求めがちな時代だからこそ、「何もしない時間」「味わう時間」「あたりまえのことに気づく時間」を意識的に作ることが大切なのかもしれません。

 

5.AIに相談する時代だからこそ大切にしたいこと

最近は、心が疲れたときにAIへ相談する方も増えていますね。

私も、AIに相談したことがあります。

AIは、とても優しくねぎらってくれます。

考えを整理する手助けもしてくれます。

実際に救われたと感じた方もいるでしょう。

私自身も、AIの便利さを感じることがあります。

 

けれど、心の成長という視点で考えると、それだけでは得られないものもあります。

発達心理学者のエリク・エリクソンは、人は生涯を通して人との関わりの中で発達していくと考えました。

私たちは、不完全な人間同士だからこそ、

「分かってもらえなかった」「うれしかった」「傷ついた」「受け止めてもらえた」

そんな摩擦や葛藤、そして安心や愛情を経験します。

その積み重ねが、自分自身を支える土台になっていきます。

 

AIは便利です。

効率も良いです。

でも、人が人と関わることでしか得られない温もりや成長も、確かにあるのだと思います。

次回コラム:『AIに相談すると心は軽くなる?便利さと、人に話すことの違い』

次回は、AIとの付き合い方と、人との対話だからこそ得られる心の変化について、もう少し深く考えてみたいと思います。

言葉にならない気持ちにも、
そっと寄り添う

函館カウンセリングRay
心理カウンセラーの関村です。

函館カウンセリングRayは、女性のための心理カウンセリングルームです。

人間関係や生きづらさ、子育て、自分らしさへの迷いなど、さまざまなお悩みに寄り添いながら、対話による心理カウンセリングのほか、風景構成法を取り入れたアートセラピーや、香りを活かしたアロマカウンセリングを行っています。

言葉だけでは整理しきれない気持ちにも、色や形、香りなどを通して、無理なく心を見つめていく時間を大切にしています。

誰かの期待に合わせ続けて疲れてしまった時。本当の気持ちが分からなくなってしまった時。

安心して気持ちを話し、自分自身とゆっくり向き合える“心の休憩所”のような場所でありたいと思っています。

パニックや不安感による心身のつらさを経験したカウンセラーが、あなたのペースを大切にしながら、少しずつ前を向いていける時間をサポートします。

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